研究概要 |
本研究は、生体信号処理の研究において実際の生物を用いて実験を行い、生物における信号処理の仕組みを解明することを試み、これに基づいた新しい信号処理法について研究を行う。1999年度は以下の研究を行った。 1.弱電気魚の研究 弱電気魚は尾部から交流電場を発生して、それを体表面の電気受容体で受け、水中にある物体のロケーションや固体間の通信を行う。従来、この種の魚は単一固体または2固体間についての周波数変化の態様や信号処理の様子は詳細に研究されてきた。しかし、3固体以上の群れの中で周波数をどのように制御するかについては非常に少数の研究しかなされていなかった。本年度はバージニア大学生物学部と共同研究を行い、7固体以上の周波数変化を同時に解析し、混信回避行動のみならず、周波数接近行動が存在する事が分かった。本研究から従来知られていた混信回避行動は、むしろ周波数接近行動から引き起こされると示唆されるデータが多数得られた。これは神経行動学的に重要な発見となると考えられる。 2.通信信号処理の研究 移動無線通信においては高多重化,周波数帯域の有効利用を可能とする新しい信号処理法の研究が求められている。広い帯域を各チャネルが重複して使用する事ができる符号分割多重化方式(CDMA)の研究について、T1P1委員会において研究討論を行った。
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