研究概要 |
ニューラルネットは学習が遅いが、広範囲の問題で学習に使用していないデータに対する優れた識別能力,すなわち優れた汎化能力を発揮できるといわれている.これに対して、ファジィシステムは一般にニューラルネットに比ベて汎化能力が劣るといわれている.このため本研究では、学習がニューラルネットに比べて高速で、かつ広範囲の問題に対してニューラルネット以上の汎化能力をもつファジィシステムを開発することを目的とする. 研究目的に沿い,本年度は以下の研究を行なった. ・離散入力に対応できるパターン認識用ファジィシステムの開発:誤認識したデータを用いてルールを動的に生成することにより,離散入力がある場合も楕円領域をもつファジィクラシファイアの認識能力を向上できた. ・大次元入力に対応できるパターン認識用ファジィシステムの開発:三角分解により逆行列を計算し、さらに対角要素に対して相対的に小さな要素を0とおくことにより,いくつかのベンチマークデータで2-7倍の高速化が得られることを確かめた.また各クラスのデータ数が次元数より少ないときにも,共分散行列の特異値を制御することにより汎化能力の低下を防ぐ方法を開発した. ・入力の変化に対してロバストなパターン認識を実現する方式の開発:入力のスケールが変ったときにも,楕円領域を持つファジィシステムでは変化に対して不変な認識ができることを示し,多層ニューラルネットに対する優位性を明かにした. ・関数近似を行うファジィシステムの開発:楕円領域をもつファジィ関数近似法の有用性を浄水プラントのデータ等で確認した.
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