研究概要 |
○高密度散乱媒質内を伝搬する光子密度波を用いた拡散光トポグラフィ法の原理確認とその可能性について,基礎的実験と計算機シミュレーションにより検討した. ○吸収体としては,輪郭が直線的で,色が黒色または半透明,かつ空間的構造が比較的単純な階段状および変形ピラミッド形のものを用いた. O皮膚下層部に分布する血管の造影への応用を目指して,ポリスチレンの細管にインクを密封した模擬血管を用いた. O高密度散乱体としては,光学的な散乱特性を熟知している単粒子分散型のポリスチレン・ラテックス標準溶液を用いた. 研究の結果,本研究で提案する拡散光トポグラフィ法の原理が確認され,次の結果を得た 1. 散乱光の偏光を考慮した単粒子径ラテックス溶液中の吸収物体の位置およびエッジ測定 ○直径460nmポリスチレン・ラテックス粒子の1%溶液中を散乱・伝播するレーザ光の光路長分布をMonte Carloシミュレーションから求めた. ○平板吸収体の深度測定を提案原理に基づき行った. ○波長632nmのHe-Neレーザ光に対して,入・出射光の偏光関係には無関係であり,横および奥行き方向の空間分解能はそれぞれ1mmと0.2mm,測定深度は3mmであることを確認した. 2. 単粒子径ラテックス溶液中の吸収体の3次元表面形状測定 O直径460nmポリスチレン・ラテックス粒子の1%溶液中に液浸した階段状吸収体,変形ピラミッド状吸収体の3次元表面形状を測定し,上述の空間分解能内で3次元表面形状測定に成功した. O直径460nmポリスチレン・ラテックス粒子の1%溶液中に液浸させた外形2.5mmの細管を皮膚下層組織内の血管に見立て,その細管に黒,赤,青のイングを密閉した.波長632nmのHe-Neレーザ光に対して,すべてのインクに対して深度5mmの造影に成功した.
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