研究概要 |
本研究は,多層プリント基板のような対象物体の内部を3次元で可視化して,ハンダ付け不良等の内部検査をしたい,という社会的要請に対処しようとするものである.本研究の目的は,多層プリント基板のような3次元物体内部を,極少数方向の投影より3次元画像として再構成する『局所再構成定理に基づく3次元CT手法』を創出しようとするものである.本研究では,局所再構成定理が成立する物体モデルとして,ウェーブレット関数モデルを導入している. 第1年目の今年度は,先ず計算機シミュレーション実験によって,3次元画像が再構成されることを確認した.次に物体投影モデルの各種パラメータを変えてシミュレーション実験を行い,最適画像再構成の条件を究明した. 1. 局所再構成定理が成立する3次元物体モデルとして標本化定理を満たすMayer型のウェーブレット関数を導入して,3次元対象空間に対して17方向から平行ビームを透過して,連立方程式を立てる.これを行列表現して,特異パターンが有効な範囲において特異値を打切る「打切り特異値分解」を行った.その結果を用いて,一般逆行列を算出した.局所領域をずらして,この打切り特異値分解を繰返し行い,その一般逆行列を算出した.局所再構成定理から予め定数行列を算出すると,投影値列ベクトルを行列掛算するだけで(誤差二乗和の最小な)大型の3次元画像(128×128×32)を良好に再構成できることを,実験的に確認することができた. 2. 次いで,最適画像再構成の条件を究明するために,物体投影モデルの各種パラメータを変えて実験を行った.さらに局所領域サイズの妥当性や,特異値分解の影響領域サイズの妥当性や,投影の方向数の妥当性について,シミュレーション実験を行い,再構成誤差を求めて比較評価の種々のデータを収集して,最適条件が判明した.
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