研究概要 |
本研究の目的は、すでに開発した計測システムに、超音波ビームに垂直な大変位にも追従できる機能を設計・付加するとともに,そのリアルタイム計測装置を多くの患者に適用し,この全く新しい循環器系の定量的計測診断法を、臨床応用可能な心筋のviabilityの評価手法として確立させることにある. そのため本年度は、次の開発研究を行なった。 (1) 大振幅で動いている心臓壁の位置をリアルタイムでトラッキングできる診断システムの設計と構築 本研究者によって独自に開発された新しい計測・解析手法の臨床応用を可能とするため,すでに開発した計測装置(既存設備)に,大振幅で動いている心臓壁の位置をリアルタイムでトラッキングできる機能を設計・付加し,心臓壁上の微小振動のリアルタイム計測を可能とした. (2) 心筋内局所の厚み変化速度の非侵襲的計測法の導入と評価 本研究者によって平成8年に新たに開発された心筋局所ごとの運動機能評価法に基づき,計測された心臓壁の微小振動から,心筋内局所の厚み変化速度の空間分布を算出し,心筋の運動機能評価を可能とした. (3) 水槽実験などにより診断システムの処理の詳細にわたる検討・精度評価 上記で構築した診断システムによって,水槽実験とヒト心臓の各部位への適用実験を行って,これまでの机上の開発では得られなかった処理の細部にわたる問題点を見い出し,解決した上で,処理系全体の精度の評価を行った.
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