研究概要 |
(1)拍動に伴って振幅で動いている動脈壁の位置をトラッキングし,厚み変化を高精度に計測できる装置の基本設計と回路構築を行なった。 (2)超音波プローブから送信される超音波ビームの位置制御のための電子回路を設計・製作し、局所ごとに得られた弾性率をもとに弾性特性の断層像を描出できるようにした。さらに、水槽内にシリコーンゴムを用いた模擬血管を作成し、以上の手法の精度評価を行ない、満足できる結果が得られることを確認した。 (3)某会杜社員の検診データを参考にして,『動脈硬化危険因子を有する』各年齢別の合計数十名について,冠動脈病変と比較的相関の高いとされている勁動脈に関して,本計測法で得られた局所血管壁の弾性特性の計測値と,高脂血症・高血圧・喫煙などの危険因子との相関関係を検討した. (4)多数の症例をもつ東北大学附属病院において,上と同様に,勁動脈に関して,本計測法で得られた局所血管壁の粘弾性特性の計測値と,高脂血症・高血圧・喫煙などの危険因子との相関関係を検討した.さらに,アテローム病変の内部組成を定期的に計測し,治療法と粥腫の退縮,安定化との関係に関する統計的検討を行なった. 以上、本研究者が独自に開発してきた,心臓壁の微小振動の超音波計測法と,新たに開発した局所ごとの運動機能評価法を、動脈壁の厚み計測に対応できるように設計変更し、局所病変たるアテロームについて弾性特性を算出し,その安定性/不安定性,あるいはその進展・退縮に関して、疾病早期段階に充分な精度で非観血的に評価を行なえる新しい計測法を実現した。
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