音響波プローブを用いる温熱環境モニタリング

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650402
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 水谷 孝一 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (50241790)
• 研究分担者: 永井 啓之亮 筑波大学, 機能工学系, 教授 (50002209)
• キーワード: 音響波プローブ / 温度分布計測 / 音速計測 / 計算機トモグラフィ法 / CT法 / 遅延線発振器 / 信号形式 / 温熱環境モニタリング

研究概要

平成11年度は、矩形・円形空間における温熱環境モニタリングの基盤的研究を実施した。成果の概要を以下に示す。
(1)少数の音響波プローブの構成と矩形空間温度分布の測定:1,9,15)の研究発表参照
12個のトランスデューサを壁面に取り付けた約25m^2の空間温度分布を分解能は3×3で実測できた。更に、壁面からの反射波の情報を利用する測定方法も検討した結果、トランスデューサのさらなる少数化を実現する見込みが得られた。
(2)回転超音波CTよる空間温度分布の可視化:2,5,7,8)の研究発表参照
直線走査と回転走査を組合わせる複合走査に代えて、電子的な回転走査のみによる直径約3mの円形空間の温度分布を計算機トモグラフィ(CT)法を利用して測定することができた。
(3)回転超音波CTによる温度分布測定の高分解能化:14)の研究発表参照
前項のCT法におけるデータ取得法を工夫する暫時回転走査を導入することにより、測定精度と空間分解能の向上を図ることができた。
(4)遅延線発振型超音波温度計:3,4,6,10,16)の研究発表参照
狭隘な空間の温度をリアルタイムで高感度に実測するための遅延線発振器型超音波温度計を製作した。更に複数の発振器を組合せることで、発振モードが不連続になる欠点を補い、温度測定範囲の拡大を図ることができた。また、熱電対での測定結果と比較した結果、十分な精度が得られた。
(5)音響波の信号形式の検討:11,13)の研究発表参照
測定のために送出すべき音響波の信号形式を検討した結果、これまで使用してきた、人工的なトーンバーストに代えて、音楽や音声などの自然な音でも利用可能なことが分かった。
(6)計測用音響トランスデューサの検討:12,17,18)の研究発表参照
温度計測用のトランスデューサについても基礎的な検討を加えた。音響ホログラフィ法によって可視化したトランスデューサの振動面の音圧分布と粒子速度を再構成することができた。この結果から、駆動周波数によって測定結果に誤差を生じていた原因を解明できた。更にセンサのアレー化により高速測定を実現した。

研究成果

• [文献書誌] K.Mizutani,A,Funakoshi,K.Nagai and K.Harakawa: "Acoustical Measurement of Room Temperature Distribution Using Small Number of Transducers"Japanese Journal of Applied Physics. 38. 3131-3134 (1999)
• [文献書誌] Funakoshi,K.Mizutani,K.Nagai,K.Harakawa and T.Yokoyama: "Temperature Distribution in Circular Space Reconstructed from Unequal Interval Sampling Data in Small Number Using Acoustic Computerized Tomography(A-CT)"Japanese Journal of Applied Physics. 39(in press). (2000)
• [文献書誌] K.Mizutani,E.Ishikawa and K.Nagai: "Space Thermometry Using a Double-Acoustic Delay Line Oscillator"Japanese Journal of Applied Physics. 39(in press). (2000)
• [文献書誌] 石川、水谷、永井: "複合音響遅延線発振器で構成する空間温度測定"平成11年秋季日本音響学会講演論文集. II. 1121-1122 (1999)
• [文献書誌] 船越、水谷、永井、原川、横山: "超音波CT法を用いた少数データからの温度分布測定"平成11年秋季日本音響学会講演論文集. II. 1191-1192 (1999)
• [文献書誌] 石川、水谷、永井: "複合音響遅延線発振器を用いる空間温度測定"第20回超音波エレクトロニクスとその応用に関するシンポジウム講演論文集. 20. 229-230 (1999)
• [文献書誌] 船越、水谷、永井、原川、横山: "音響CTを用いる空間温度分布計測"第20回超音波エレクトロニクスとその応用に関するシンポジウム講演論文集. 20. 231-232 (1999)
• [文献書誌] 船越、水谷、永井: "音波伝搬の逆問題に基づく空間温度勾配の可視化"日本超音波医学会基礎技術研究会資料. BT-99-22. 9-16 (1999)
• [文献書誌] 船越、増田、水谷、永井: "音響波プローブで非接触計測された矩形空間温度分布"第7回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集. 7. 1-2 (2000)
• [文献書誌] 石川、水谷、永井: "複合遅延線発振器型超音波温度計の動作特性"第7回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集. 7. 3-4 (2000)
• [文献書誌] 生越、水谷、永井: "相関法を用いる音速測定"第7回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集. 7. 121-122 (2000)
• [文献書誌] 井口、廣瀬、水谷、永井: "音響ホログラフィ法を用いるスピーカーコーン振動の非接触測定"第7回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集. 7. 123-124 (2000)
• [文献書誌] 生越、水谷、永井: "自然音で計測する空間温度測定"2000年春季日本音響学会講演論文集. II(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 増田、船越、水谷、永井: "漸次回転走査型超音波CTを用いる温度分布測定"2000年春季日本音響学会講演論文集. II(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 内田、船越、水谷、永井: "反射音情報から再構成する矩形空間温度分布"2000年春季日本音響学会講演論文集. II(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 石川、水谷、永井: "多周波-遅延線発振器を用いる超音波温度計"2000年春季日本音響学会講演論文集.. II(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 井口、廣瀬、水谷、永井: "マイクロフォンアレイを用いる近距離音場ホログラフィ法による振動計測"2000年春季日本音響学会講演論文集. II(印刷中). (2000)
• [文献書誌] 伏見、水谷、永井: "境界要素法を適用した近距離音場ホログラフィ法を用いる振動の可視化"2000年春季日本音響学会講演論文集. II(印刷中). (2000)