直径0.6mmと1mmの小型PVDFハイドロホンの感度校正を二つの手法で行った。その一つは従来の手法、相互校正法であり、他方は音波の非線形伝搬に基づくものである。特に、有限振幅の超音波ビームは媒質の非線形性で波形歪みを引き起こし、そのビーム内に高調波を発生する。個々の高調波成分の大きさは、われわれが音場の正確な記述として提案したモデル式で理論的に予測できる。高調波の音圧は駆動周波数や音源音圧レベルの音源条件に強く依存する。また、基本波周波数でのハイドロホンの音圧対電圧感度応答は相互校正によって決定する。この音源条件が決まれば、高調波の音圧振幅は一義的に決定できる。実験と理論を比較することで2.5〜20MHzの周波数範囲で二つのハイドロホンの校正を行った。その結果、ハイドロホンに附属の校正表と比べて、全体的に1.5dB以内でよく一致した。
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