研究概要 |
音叉型水晶触覚センサの動作原理を明らかにするために、センサの基底部にアクリル半球を取り付けた点接触型の触覚センサの動作を調べた。アクリル半球と物体との接触をヘルツの接触理論により解析し、アルミ、銅、真鍮、ステンレス、ガラスへの接触実験との比較からセンサの共振抵抗変化は測定対象物の剛性率とポアソン比に依存しており、これはアクリル半球が弾性変形した接触面積に触覚センサの共振抵抗変化が比例していることが明らかになった。次に、センサの基底部をそのまま物体に接触させる状態を水晶と二層の物体による縦波平面波の三層透過モデルで記述し、銅、アクリル、PVCへのそれぞれ二層への接触実験と三層を縦波平面波が透過する理論値との比較から音叉型水晶触覚センサの共振抵抗変化は縦波平面波のエネルギー透過モデルで説明できることが明らかになった。更に、古紙の配合率100%,70%、0%の三種類の紙で繊維の方向が識別できるかどうか実験を行った。50g、100g、148gの荷重をセンサに加えたとき、148gの荷重のときのみ繊維の方向を識別できることが明らかとなった。最後に、音叉型水晶振動子の基底部の接触と力を考慮した解析モデルを妹沢近似により作り、音叉型水晶触覚センサが保持されているアクリルケースから受ける圧力と測定対象物から受ける抗力によって音叉型水晶触覚センサの周波数がどう変化するか解析した。その結果、横からの圧力P_tを上げていくと周波数fが圧力P_tに対して単調に増加し、P_t=100gG/cm^2以上になるとウインクラー係数k=10^<10>G/cm^3以上からkに比例して周波数fが増大することが明らかとなった。ガラス、アルミ、銅、ステンレスへの音叉型水晶触覚センサの接触実験から接触する物体のヤング率と周波数変化が対応しており、この周波数変化から接触した物体のヤング率を推定できることが明らかとなった。
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