研究概要 |
音響診断技術の実用化を目指して本研究では未知の音を誤って診断したときに、既に学習したネットワークを変更することなく、誤診断した音を正確に診断できる新たなネットワークを付加していくようなモジュール構造の「診断ネットワーク」を新たに提案すると共に、携帯型の診断装置を製作した。そして、配管からの漏洩検出を対象として、その診断能力を詳細に評価するために、下記の事項について検討した。 1.長期間に渡る正常音と異常音の収集 診断方法の詳細な評価には、より多くの正常音や異常音を収集する必要がある。そこで、石油精製プラントにおける種々の暗騒音のもとで配管からのガス漏れ音の異常音を収集した。同時に、このような異常のない状態の正常音(暗騒音)も固定したマイクによって長期間にわたって大量に収集した。 2.診断ネットワークの構築 モジュール構造の診断ネットワークを用いて,長期間に渡るデータに対する診断ネットワークの動作を確認した。また、診断ネットワークの汎化能力の向上を目指して、遺伝アルゴリズムを用いたニューラルネットワークの構造選択や、特徴抽出に関する基礎的な検討も行った。さらに,独立成分分析を漏洩音の特徴抽出に適用し,その有効性を確認した。 3.携帯型の診断装置の製作 ノート・パソコンにマイクロフォンからの音響データを直接入力し、周波数分析から診断までを行う携帯型の診断装置を開発した。この装置は、音響データを入力するインターフェイスと高速フーリエ変換などの前処理、診断ネットワークの機能をノート・パソコン上で実現している。これにより、リアルタイムな診断が可能となった。
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