本研究は、マイクロマシニング技術を用い、小型かつバッチプロセス可能な(すなわち量産化・低価格化が可能な)2軸角速度センサを実現することを目的としている。昨年度、2軸構造の基本的デバイスの設計、試作を成功させ、今年度はその詳細な特性評価、真空封止を含むバッチプロセス化が可能なプロセスの構築を行いさらにインターフェイス回路のASICの実現・改良による特性向上を確認した。最終的なシステム構成は以下のようになった。まず、構造体は半径1mm、厚み55μmのシリコン円盤である。この円盤が4方よりミアンダ上のシリコンバネで吊られている。円盤は、円盤外周に配置した櫛歯アクチュエータによって回転振動共振周波数で回転振動させられ、これに発生するコリオリ力を円盤下部に配置された電極との静電容量変化で検出する構造となっている。この構造は2枚のガラスで真空中において封止され、4インチのウエハでのバッチ処理により完成する。周辺回路は、極微小な静電容量変化を検出するためバイポーラベースのBiCMOS ASICを試作し、構造体と密に結合することにより1fF以下の静電容量変化出力を精度良く検出している。構造は円盤という回転対称体であるため、2軸の角速度を検出することができる。最終的なデバイスおよび検出システムでは、外形12×12×1.4mm^3、±250deg/sの角速度印加において直線性誤差最大1.5%FS、ノイズ換算で最小分解能0.03deg/s(1HzBW)の特性が得られた。
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