研究概要 |
大規模で複雑なシステムの制御系設計のための階層的なモデリング法について,本年度は以下に示す具体的な対象に対して検討を行った。 1.大型無人ヘリコプターの飛行中動特性同定実験 総重量約800kgの大型無人ヘリコプターの自立飛行制御系の構成を最終目標として,本年度はまずヘリコプターの飛行中の動特性をモデリングした。飛行中にランダム信号を各軸(ロール軸,ピッチ軸,ヨー軸,ヒーブ軸)に入力し,それに対する変位,速度,加速度応答を測定し,それらの入出力信号からシステム同定の方法によってモデリングを行った。そのとき,高次モデルによって詳細モデルを,低次モデルによって制御系設計のための公称モデルを構築した。 2.鉄鋼業の高炉の制御をめざしたシミュレータによる制御モデルの導出とゲインスケジューリングによる制御系設計 計算機上に構築された高炉を模擬するシミュレータに対して,入力信号を印加し,その応答を測定することにより,部分空間法によるシステム同定実験を行い,制御モデルを作成した。この同定実験を,さまざまな動作点に対して行うことにより,複数の制御モデルを得ることができ,それらに基づいてゲインスケジューリングによる制御系設計を行った。 3.自動車車室内の音響伝達系のモデリングと制御 自動車車室内の騒音をアクティブ制御するために,車室内の音響伝達系のモデリングを行い,その結果に基づいてフィードバック型のアクティブ騒音制御器を設計した。
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