研究概要 |
本研究は,生物の運動をモデルとして,神経の工学モデルであるニューラルネットワークを用いた運動の学習獲得を試みた.生物の日常的な運動には,特に周期性のあるものが多いことに着目し,多関節ロボットにおける周期運動の生成を中心に研究を進めた.具体的には,多関節ロボットとして,ヘビロボットに蛇行前進運動,2足ロボットに歩行運動を実現することを目指した. 先ず,ニューラルネットワークの振る舞いを解析的に取り扱い,解析に基づき意図的に,発振・位相シフトなどを生成するネットワークを構成した.そして,構成されたネットワークにより制御され生成されるダイナミクスを関節運動に適用することにより,蛇行前進運動,歩行運動を実現した.つづいて,一般にエネルギーに関し効率的な運動の学習獲得という観点から,ロボットの移動速度と関節にかかる負荷を評価要素としてニューラルネットワークの結合荷重を変化させ,ヘビロボットが効率的に蛇行前進し得る関節間位相差の学習獲得を実現した. 以上まとめると,我々が達成したことは「ニューラルネットワークにおける発振の生成・制御」,それを用いた「ロボットの周期運動の実現」,さらに「移動速度と関節負荷に基づいた運動の学習獲得」である.
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