研究概要 |
下記の4点を重点的に研究した. 1. システム設計に関する従来の方法論の整理 これについては相当以前に一般設計学が提唱されている.その内容は集合論をもとに位相の導入と集合間の写像を用いた概念論に近い.我々の研究ではこれを一歩進めて設計における接続による構造生成,環境と機能の相互関係,設計仕様などを新しく定義し,逆問題としての設計論をまとめる努力を行った.内容は数学的であるが,すでにその成果を学会誌に投稿中である. 2. 創発的計算法の理論と手法の体系的整理 進化的計算法(とくに遺伝的アルゴリズムと遺伝的プログラミング)の実用性を追求した.第1は上記の設計論を順方向写像の繰り返し過程として定式化し,これに進化的計算法を適用する.第2に具体例として,線形受動フィルタや多関節移動ロボットの新規な構造と機能創発にこれを応用した.これらの研究により,提案手法の有効性が示せた. 3. システム設計における遺伝子型の定義と記述法 技術遺伝子というものが存在すべきとの観点によっているが,具体的には2次元配列の遺伝子も有用せるとの結論に達している.これに加え,遺伝的計算法に記号の導入による生成文法などの考慮も検討中である. 4. 進化的計算論および適応学習論を用いた人工システム設計過程の構成 第1に進化計算に不確定な環境を導入する研究と,第2に移動ロボットなどが迷路を探索するような問題で未知状態空間を強化学習により分割する問題を理論およびシミュレーションにより検討を進めたが,現在は途上にある.
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