研究概要 |
今年度は,免疫型システムの理論的解析を支援するための基本ソフトウェアとして,シミュレータと同時にエージェントを実装するコンピュータ環境を整理した。このシミュレータで、シミュレーションできる事は、そのまま実験ネットワーク上での移動エージェントでも、実装可能となるようにエージェント実装環境を構築した。またこれを用いて、以下のようなシミュレーションと実験を行った。 1.免疫型システムの理論的解析とそれを支援するためのシミュレータを用い以下のようなシミュレーションを行った。 ・免疫細胞とウイルスの相互作用についての確率的シミュレーション ・メール感染型ウイルスのネットワーク上での伝播シミュレーション ・移動エージェントが、サイト間を移動することにより各サイトでのウイルスや、サイト間を移動する悪意あるエージェントを、どの程度効率的に除去しうるかのシミュレーション 2.また,上記シミュレータにもとづき,実際のエージェントでプロトタイプを実装するため,以下の検討を行った。 ・各サイトで,エージェントの信用度が評価できるか ・サイトの中にも、悪意あるサイトがある場合、エージェントの信用度の評価がどの程度可能か ・エージェントの増殖,移動能力によりどのような適応的な変化が可能か この結果,エージェント集団により,適応的な経路選択や自発的な信用度評価が可能なことがわかった。 3.さらに、免疫現象のなかでも最も基本的な、自己非自己に相当する関係が導出されるかの実験を、以下の場合について行っている。 ・各エージェントに2進ベクトルを持たせ、これをレセプタと考え、レセプタ間に毒性、無害の関係を入れた場合、無害なエージェントが集合して自己を構成するか。 ・各サイトと各エージェント間に、適性、不適性の関係を入れた場合、サイトに適性をもったエージェントが集合し,自己を構成するか。
|