研究概要 |
非線形複雑系のモデル化と制御には、生物の学習方式及び記憶方式を解明し、その工学的利用が有益であると考えられる。このことから、生物の学習方式を範とするモデル化と学習方式及び,複雑系の代表格である脳の連想記憶方式とそのモデル化に関する研究を行った. 1.モデル化に関する研究 遺伝的アルゴリズムを用いた可変長の遺伝子コードを間接符号化法に基づく,最適ネットワークサイズと適切なネットワークパラメータを持つニューラルネットワーク設計法を提案し,シミュレーションによりその有効性を確認した. 2.学習及び制御に関する研究 ・ロバストな制御器構築を目的として,制御器構造をコンパクト化する方式の検討を行い,非線形クレーンシステム制御のシミュレーションによりその有効性を確認した. ・ネットワークによるモデルを学習にて構成する場合の学習時間の短縮化に関する検討を行い,学習すべきシナプス重みパラメータを関数表現化する方式を提案し,学習の高速化の点で有効であることを確認した. ・生物の自然な学習方式である強化学習方式について,不完全観測環境下におけるactor-critic学習方式と確率傾斜法の協調学習方式を開発,また,強化学習における試行錯誤において試行に関する探索方向を適応的に変化させることを提案し,倒立振子の制御及び自律走行ロボットの行動学習を例題として高い探索効率及び学習試行回数の減少効果を持つことを確認した. 3.連想記憶方式とそのモデル化に関する検討 ・記憶の記銘・想起のうち,想起に関する記憶検索モデルについて検討し,従来方式に比較して想起したい記憶を想起するまでの時間ステップが短い記憶探索モデルを提案した.
|