研究概要 |
走行クレーンの制御に関して,従来から提案されている研究の調査を行なった結果,従来は振れ止め制御をテーマにした研究がほとんどであった。しかし,実際のクレーンにおいては,振れ止めのみでなく追従制御によりクレーンを目標位置に正確に止めることが作業能率の面からも重要であり,現場の技術者にとっては比較的簡単に設計ができるこのような制御系設計法の開発は重要なテーマであるので,追従制御の面から最適レギュレータ理論に基づくサーボ系設計法についての研究を行なった。 その結果,一般的なサーボ系設計理論には(1)フィードフォワード項を含む設計法と(2)含まない設計法の2種類があるが,フィードフォワード項を含まない設計法による設計例は数少ないことが判明した。そこで,これらの2つの設計理論を走行クレーンの制御に適用,制御系を設計し,従来の設計法とサーボ系による設計法の比較実験を行なった。 その結果,従来の設計法は振れ止めに対しては有効であるが,正確に目標位置に停止できない,またサーボ系による設計法は振れ止めのみでなく,目標位置にも正確に停止出来ることを実験により確認した。(1)の(2)の方法の比較では,(2)の方法が振れ止め制御の点で優れていた。 今回の実験では最適レギュレータ理論に基づいた定係数コントローラを使用したが,今後は,周波数領域上の設計が可能なH_∞制御理論を用いたコントローラにより実験を行なう予定である。
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