研究概要 |
平成13年度は,走行クレーンの振れ止め制御実験と旋回クレーンの振れ止め制御実験により得られた結果をもとに制御理論の整理及び今後の展開を中心に研究を行った。 走行クレーンに関しては,独自に開発したH∞制御理論に基づくコントローラを用いて実験を行い平成12年度には顕著な振れ止め効果を確認することができた。この結果より我々は,当初の目的は達成することができたと考える。今年度はこの結果を踏まえて,実験装置とコントローラの間に存在する伝送遅れを考慮したモデルに基づいた制御系の開発を行い,シミュレーションで顕著な成果を確認した。 旋回クレーンに関しては,非線形コントローラを用いて平成12年度には顕著な振れ止め効果を実験装置により確認することができた。旋回クレーンの振れ止め制御に関するこの成果は,日刊工業新聞及びJETRO発行の「New Technology Japan」に掲載され,学会のみでなく産業界でも広く注目を集めている。また,我々の研究に刺激されて最近同様な研究発表が多く見られるようになった。 今年度はこの結果を踏まえて,関数論に基づいた制御系設計理論を新たに構築した。その結果,昨年度以上に高性能な制御を行うことができるようになった。この理論は今までにない全く新しい考えに基づいており,純粋理論の研究者にも注目されている。 今回の旋回クレーンの研究においては,最も重要な動作である旋回動作に限定して研究を進め顕著な振れ止め効果を確認することができたが,今後はブームの起伏動作も考慮した制御系設計を行っていく予定である。 両研究ともに学会論文誌への投稿を準備中である。
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