従来研究を行ってきた移動物体への組み付けシステムの性能向上を目的とし、振動型エンドエフェクタの開発を行った。このエンドエフェクタは把持した挿入軸を周囲に配置された8つの電磁石によりスパイラル駆動させる方式である。軸挿入の際にPSDセンサによる位置合わせが不十分で軸挿入に失敗した場合に、軸部が対象面より押し返される。その状態を軸受け後部に取り付けられている静電容量センサの容量変化により検知し、把持した挿入軸をスパイラル駆動させる。これにより500μmまでの軸ずれであれば半能動的に軸ずれを補正して軸を正しく穴まで導き軸挿入することが可能となった。従来の組み付けシステムはRCC型エンドエフェクタを使用しており、移動速度40mm/secの移動挿入対象物体に、クリアランス100μmの軸を挿入できた。今回の振動型エンドエフェクタを装着した組み付けシステムは、移動速度80mm/secの移動挿入対象物体に対して、クリアランス50μmの軸挿入が可能となり大幅に性能が向上した。さらに十字型PSDセンサの特徴である挿入対象面が傾斜していた際の傾き角検出特性を計測し、本センサは±5度程度の傾斜面の傾きを検出できる特性があることを確認した。従来は軸と穴面は垂直であるという仮定を行い実験装置を調整していたが、傾き検出特性を利用することでこの仮定を無くし、より現実に近い条件での挿入を可能にするシステム改造を行った。今後、実験などを行い傾斜面に対する挿入システムの有効性を検証する予定である。
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