研究概要 |
研究内容は大きく分けて、1)安定論の立場から進めてきた非線形ロバスト適応制御に関する研究を、2次形式の最適制御あるいは最近のH∞最適制御の観点から再構築する。非線形ロバスト最適適応制御理論または非線形ロバストH∞(最適)適応制御理論をあらたに展開することで、様々な不確定要素に対するロバストパフォーマンスを陽に指定できるような制御系設計法を確立する部分と、2)制御動作を計画、制御装置の選択と適切な配置、シーケンス制御の部分も含めたハイブリッド系(フィードバック制御とシーケンス制御)の運転まで拡大解釈して、拡張された概念による新しい知能適応制御系の構成理論を構築する部分の2つからなる。今年度は特に項目1)の内容に関して、これまで進めてきた研究を継続する中で以下のような成果を得た。 1. 相対次数の不確定性に対する適応制御系の構成については、これまでの研究を発展させて3次の範囲の相対次数の不確定性に対して、適応安定化制御系、モデル規範形適応制御系、適応サーボ系を構成する手法を求めた。また相対次数の不確定性に加えて、高調波利得の符号が未知の場合にも対応できるような適応安定化制御系、モデル規範形適応制御系、適応サーボ系の構成法を求めることができた。関連する成果は以下の通りである。 1-1)宮里:次数と相対次数に依存しない非線形適応制御系の構成法(相対次数が3次の範囲で不確定な場合)、システム制御情報学会論文誌、Vol.11,No.6,pp.330-340,1998. 1-2) Miyasaco:A design method of universal model reference adaptive controller,Proceedings of 1998 American ControIConference,Vol,1,pp.609-613,Philadelphia,1998. 1-3) Miyasato:A design method of universal adaptive servo controller,Proceedings of the 37th IEEE Conference onDecision and Contol,Tampa,pp.2294-2299,1998. 1-4) 宮里:次数と祖対次数に依存しない適応サーボ系のー構成法、計測自動制御学会論文集、Vol.35,No.3,1999(掲載予定) 1-5) Miyasato:Model Reference Adaptive Control for a Class of Nonlinear Systems with Unknown Degrees and UncertainRelative Degrees,1999 American Control Conference,San Diego,1999(to be presented).2. 適応制御系の簡略化設計法についても考察を進め、ハイゲインオブザーバを用いた構成法の提案とそのロバスト性の解析を行った。また同様の考え方を押し進め、未知の次数に対して1個の調整パラメータで適応制御系を構成する手法も提案した。関連する成果としては以下のものがある。 2-1) Miyasato:A Simple Redesign of Model Rererence Adaptive Control System and Its Robustness,Proceedings of the37th IEEE Confence on Decision and Control,Tampa,pp.2880-2885,1998.3. これまでの適応制御の研究の中の重要なトピックスのサーベイと、最適性に関する最近の結果についての解説論文をまとめた。 3-1) 大森,宮里:適応制御の潮流,システムノ制御/情報,Vol.42,No.6,pp.287-299,1998.4. その他(車両のセミアクティブサスペンションへの双線形制御理論の応用) 4-1) Kawabe,Isobe,Watanabe,Hanba,Miyasato:New semi-active suspension controller design using quasi-linearizationand frequency shaping,Control Engineering Practice,Vol.6,pp.1183-1191,1998.
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