非線形ロバスト適応制御の最適化と知能化に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10650443
• 研究機関: 統計数理研究所
• 研究代表者: 宮里 義彦 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助教授 (30174155)
• キーワード: 適応制御 / ロバスト制御 / H∞ / H2制御 / ハイブリッドシステム / 最適制御 / 非線形制御 / ニューラル・ネットワーク

研究概要

研究内容は大きく分けて、1)安定論の立場から進めてきた非線形ロバスト適応制御に関する研究を、2次形式の最適制御あるいは最近のH∞最適制御の観点から再構築する。非線形ロバスト最適適応制御理論または非線形ロバストH∞(最適)適応制御理論をあらたに展開することで、様々な不確定要素に対するロバストパフォーマンスを陽に指定できるような制御系設計法を確立する部分と、2)制御動作を計画、制御装置の選択と適切な配置、シーケンス制御の部分も含めたハイブリッド系(フィードバック制御とシーケンス制御)の運転まで拡大解釈して、拡張された概念による新しい知能適応制御系の構成理論を構築する部分の2つからなる。今年度は目1)の内容に関して、これまで進めてきた研究を継続する中で以下のような成果を得た。
1.相対次数の不確定性に対する適応制御系の構成については、これまでの研究を発展させて3次の範囲の相対次数の不確定性に対して、適応安定化制御系、モデル規範形適応制御系、適応サーボ系、及び次数に依存しないモデル規範形適応制御系を構成する手法を求めた。また相対次数の不確定性に加えて、高調波利得の符号が未知の場合にも対応できるような適応安定化制御系、モデル規範形適応制御系の構成法を求めることができた。その成果が2編の論文として出版された。
2.適応制御系の簡略化設計法についても考察を進め、ハイゲインオブザーバを用いた構成法の提案とそのロバスト性の解析を行った。関連する成果が1篇の論文として出版された。
3.最適制御またはH∞制御の観点から適応制御系を再設計する手法について研究を進め、未知のシステムパラメータを外乱と見なして非線形適応H∞制御系を構成する手法についても研究した。さらに一連の手法をニューラルネットによる非線形適応H∞制御系の構築に適用した。

研究成果

• [文献書誌] 宮里義彦: "構造の簡単な適応制御系の設計法とそのロバスト性"計測自動制御学会論文集. Vol.36,No.5. 424-430 (2000)
• [文献書誌] Yoshihiko Miyasato: "General forms of adaptive nonlinear H∞ control for processes with bounded variations of parameters"preprints of IFAC Symposium on System Identification (SYSID 2000). (2000)
• [文献書誌] Yoshihiko Miyasato: "Adaptive nonlinear H∞ control for processes with bounded variations of parameters"Proceedings of 2000 American Control conference. Vol.1. 297-301 (2000)
• [文献書誌] Yoshihiko Miyasato: "A model reference adaptive controller for systems with uncertain relative degrees r, r+1, r+2 and unknown signs of high-frequency gains"Automatica. Vol.36,No.6. 889-896 (2000)
• [文献書誌] Yoshihiko Miyasato: "Adaptive nonlinear H ∞ control for processes with bounded variations of parameters-general relative degree case-"Proceedings of the 39th IEEE Conference on Decision and Control. 1453-1458 (2000)
• [文献書誌] Yoshihiko Miyasato: "A design method of universal adaptive stabiliter"IEEE Transaction on Automatic control. Vol.45,No.12. 2368-2373 (2000)