研究概要 |
本研究においては,NaOH溶液に浸漬したフライアッシュやシリカフュームを添加したモルタル供試体より作製された研磨試料に対するSEM観察およびBSE-EDS分析より,アルカリシリカ反応におけるCa(OH)_2の役割について検討した。得られた結果および結論をまとめると以下のようである。 (1)本実験において使用した元々微細なひびわれを有する反応性骨材においては,細孔溶液が微細なひびわれに侵入するにしたがって,ひびわれに沿うシリカ表面においてASR反応が進行する。元々存在するひびわれ中に生成されるゲルの膨張によってひびわれ幅が拡大し,それがモルタル全体の膨張に繋がったと推定される。 (2)モルタル中のCa(OH)_2量を減少させた鉱物混和材添加モルタルにおいては,外部からNaOHが侵入しても,膨張性のゲルが生成し難く,膨張性ゲルの生成にはCa(OH)_2の存在が必要であることが確認された。 (3)外部からアルカリが供給される場合には,ゲル中のアルカリ量の増加はモルタルの膨張量を減少させるのに対して,ゲル中のカルシウム量の膨張量に及ぼす影響は顕著ではない。
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