研究課題/領域番号 |
10650449
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川村 満紀 金沢大学, 工学部, 教授 (20019730)
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研究分担者 |
五十嵐 心一 金沢大学, 工学部, 助教授 (50168100)
鳥居 和之 金沢大学, 工学部, 教授 (50115250)
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キーワード | リチウム塩 / アルカリシリカ反応 / 超強度コンクリート / ゲル / EDS分析 |
研究概要 |
本年度においては、リチウム塩のアルカリシリカ反応抑制効果のメカニズムを解明することおよび超高強度コンクリートにおけるアルカリシリカ反応の特徴を把握することを目的として、膨張試験を実施し、モルタル供試体より作製された研摩試料に対するSEM観察およびBSE-EDS分析より、アルカリシリカゲルの組成と膨張量との関係について検討した。得られた結果および結論をまとめると以下のようである。 (1)リチウム塩を添加したモルタルにおいて、その添加量を増加させるとゲルのCaO/Si0_2比の平均値が低下するとともに、ゲルの組成が均質なものになった。しかし、このことは、リチウム塩のアルカリシリカ反応抑制効果とは直接関係はないようである。 (2)アルカリシリカ膨張を示さなくなる程度の量のリチウム塩を添加したモルタルにおいては、SEM観察においてマッシブなゲル領域は見られなかった。しかし、酢酸ウラニルを塗布した試料に対する蛍光顕微鏡観察によって、これらのモルタルにおいてもゲルが生成していることが明らかとなった。 (3)アルカリシリカ反応を抑制するリチウム塩の限界量は、塩の種類に関係なく、練りまぜ水における濃度として0.75mol/lであることが示された。 (4)極めて低い水セメント比(=0.23)においては、通常の水セメント比(=0.5)においてアルカリシリカ反応による膨張が発生しない骨材を使用したモルタルにおいて顕著な膨張が見られた。 (5)低水セメント比のモルタルにおいて生成したアルカリシリカゲルはゾル化した後、セメントペースト相に浸透することなく、ペースト中のひびわれ内部に存在していた。 (6)セメントペーストのひびわれ中に存在していたアルカリシリカゲルには周囲からCa^<2+>イオンが拡散・侵入していることが確認された。
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