研究概要 |
過去2年間の実験的検討から,膨張剤とCFRP緊張材とを用いたケミカルプレストレス薄板の実用的製作方法について目途を立ててきた。12年度では化学的膨張作用に起因して生じるセメント硬化体組織の緩みや,使用時の2次エフロレッセンスの発生や耐久性の低下を防止する目的で,ポリマーセメントモルタルとの併用を検討した。使用ポリマーには現在市販されている中から特に強度発現や使用性に優れたSBRラテックス系,アクリル共重合体,エチレン酢酸ビニル系,エチレン酢酸ビニル共重合樹脂,スチレンアクリル共重合樹脂,エチレン酢酸ビニル塩化ビニル共重合樹脂の6種を選び,膨張材量と圧縮及び曲げ強度との関係や膨張作用への弊害などの有無を調べた。 その結果,大半の樹脂は10%以下のポリマーエマルジョン添加量に対して,コンクリート強度は高くなることや,ポリマーエマルジョンを添加したコンクリートの材齢初期の膨張ひずみは無添加の場合よりも大きくなること,単位膨張剤量87kg/m^3の場合5N/mm^2程度のプレストレスが導入されること,硬化後に湿潤乾燥を繰り返してもエフロレッセンスの発生が見られないことなどが明らかとなった。
|