本年度は、プレストレッシング度を約0.5とした2スパンPRC連続はり供試体の載荷試験により、曲げ耐荷特性とせん断耐荷特性に及ぼす主にPC鋼材付着とコンクリート強度の影響について検討した.本研究の主な結果をまとめると、以下のとおりである。 (1)アンボンドPRCはボンド部材に比べ曲げひび割れ幅が多少大きくなるが、f'_c=40、80N/mm^2とも鉄筋応力の非線形解析値と土木学会示方書のひび割れ幅式で大略推定できた。 (2)ボンド部材に対するアンボンド部材の曲げ耐力低下率は最大10%程度で、またf'_c=80N/mm^2の高強度コンクリートによる耐力増大率は後者の方が大きい。 (3)PRC部材の鉄筋降伏前のたわみに及ぼすPC鋼材付着の影響は非常に小さい。 (4)PC鋼材付着の有無によらず類似のモーメント再分配挙動を示し、その挙動はPC鋼材に対する変形適合係数を用いた簡易な本非線形解析法で比較的よく推定できた。 (5)せん断補強筋を有しない場合、終局せん断耐力は、全体平均で、PRCでは同一配筋のRC部材より約55%大きく、またアンボンド部材ではボンド部材より約15%低下した。 (6)せん断補強筋を有しない場合の終局せん断耐力は示方書式で部分安全係数を全て1.0とした値と比べ全体平均で約60%大きく、PRCではRCよりこの傾向が顕著であった。
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