研究課題/領域番号 |
10650465
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
三浦 房紀 山口大学, 工学部, 教授 (60109072)
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研究分担者 |
坪井 利弘 永楽開発(株), 設計部技術課, 主任(研究職)
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キーワード | 断層破壊過程 / 地震波形 / シミュレーション / ノースリッジ地震 / 固着滑り実験 / 平均食い違い / 応力降下量 / 非線形有限要素法 |
研究概要 |
地球物理の分野で実施されている岩石の固着滑り実験から、破壊(滑動)が生じる少し前、すなわち初期応力状態からピーク強度に至るまでに僅かではあるが相対変位が生じる、そしてピーク強度に達してからはせん断応力は指数関数的に降下するということが明らかにされている。本研究ではジョイント要素の構成関係にこの関係を出来るだけ忠実に再現した。 まず、2次元FEMプログラムを用いて、メッシュサイズと再現可能な波形の周波数の関係、応力降下量と平均食い違い量との関係、破損応力降下量と破壊速度の関係等、基本的なパラメトリック解析を行い、解析手法の有効性と限界、および断層の破壊メカニズムの特性を明らかにした。主な結果は以下の通りである。 (1) 有限要素の大きさと再現できる波動の最高周波数のと間には、次式のような関係があることが確認された。f=V/(2L)ここに、fは表現できる上限の周波数、Vは対象とする波動の速度、Lは要素の長さである。 (2) 応力降下量と平均食い違い量の関係には地表面の境界条件が大きく関与することが明らかになった。 すなわち、無限弾性論に基づく断層モデルから得られる両者の関係と、半無限弾性体で破壊が地表まで達したモデルから得られる両者の関係の中間にある、ということである。 (3) 破損応力降下量は、破壊伝播速度に影響を及ぼし、この大きさによっては破壊伝播速度はせん断波速度以上になりうることを明らかにした。そしてこれを一種のタンクモデルで説明を試みた。 次に、ノースリッジ地震を対象に、まず2次元FEMでどこまで観測波形が再現できるか試みた。 FEMメッシュから表現できる周波数の上限は2.2Hzとなったので観測波形にもこの周波数でフィルターをかけ比較検討した。その結果、与えられた応力降下量では平均食い違い量が大きく、その分加速度記録もシミュレーションの方が大きくなった。そこで、上記(2)の効果、および、3次元効果を考慮に入れて応力降下量を小さくしたところ、両者はオーダー的には比較的よく合うようになった。しかし波形の詳細についてはまだ十分ではない。
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