本研究目的である「工学設計教育としての鋼橋の設計および製作支援システム」をほぼ完成させた。「鋼橋コンテスト」に参加した学生を対象に、本システムについてのアンケート調査を毎年実施し、このシステムの不十分な部分を毎年改訂し、ほぼ満足すべき結果を得た。本システムの利点は次のとうりである。 (1)「工学専門実験・演習」のテーマに「ブリッジ・コンテスト」を導入することにより、2年次の「構造の基礎および応用」での構造力学の理解、3年次の「工学専門実験・演習」の「ブリッジ・コンテスト」での計画設計の理解、「構造解析学」でのFEM解析および「鋼構造工学」での橋梁の構造特性の把握、4年次の「鋼橋コンテスト」での総合理解と科目間のシステム化と連携を図ることができた。 (2)工学設計教育の基本パターンである「企画・実施・まとめ・発表」と「Plan・Do・Check・Act」の全サイクルを含むところの「工学設計教育としての鋼橋の設計および製作支援システム」とすることができた。また、本学では全学生に「ノート型パソコン」を所有させている。この「ノート型パソコン」を用いたFEM解析、Word、Excelによるプロジェクトレポートの作成等、「鋼橋コンテスト」をとうして「情報リテラシー」を身につけさせることができる。 (3)コンピュータの普及とともに、工学教育は解析が中心となり、Hands-on教育が欠落しつつある。3年次の「ブリッジ・コンテスト」および4年次の「鋼橋コンテスト」をとうして、この欠落を多少なりとも補うことができた。
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