研究概要 |
現行の地盤の液状化発生予測手法は,液状化が発生するかしないかの2極的な結論を出す予測手法である.しかし,阪神大震災の事例からも明らかなように,地盤の液状化による実際の被害事例を見ると,その被害程度は無被害のものから重大なものまで連続的に変化しており,2極的な被害にはなっていない.これは外力である地震動の荷重レベルおよび地盤のねばり強さが連続的に変化しているからに他ならない.特に,土の地震荷重に対するねばり強さ(靭性)に関しては,それを定量的に評価する手法がないのが現状である.このため,液状化によって急激にせん断強度を喪失するねばりのない緩い砂質土の破壊現象と,大きなひずみが発生してからも粘着力によってねばってくれる粘性土や大ひずみで剛性が回復する密な砂質土の破壊現象が明確に区別することができていない状況にある.本研究の目的は,土の地震荷重に対するねばりを定量的に評価できる手法を開発することである. 本年度は,研究の最終年度であり,今までの研究成果を総括し,報告書としてまとめるための資料整理を行うとともに,研究成果の発表を行った. 国内においては,第35回地盤工学研究発表会,第55回土木学会年次学術講演会,土構造物の設計入力時震動シンポジウム(地盤工学会主催)において,研究成果を発表した.また,国際的な学術雑誌,Soils and Foundationsに本研究の成果が公表された. 国外においては,4th International Conference on Recent Advances in Geotechnical Earthquake Engineering and Soil Dynamics,San Diego,USA,2001/3において発表が行われた. また,土木学会地震工学委員会のレベル2地震動に対する液状化の小委員において,研究成果に関する講演を行い,他の研究者との議論を行った. さらに,これら研究成果は科研費報告書として印刷し,同分野の研究者に配布する予定である.
|