(1)試験装置の改良 : 既存の三軸試験装置を改良し、正確でなめらかな繰返しせん断を供試体に作用させることに成功した。大変形試験に対応するため、単面摩擦除去機能付きのペデスタル・キャップを新たに制作した。また、既存の中空ねじりせん断装置に対して圧力配管・計測センサー・制御装置類の整備を行うとともに、新たにねじりせん断載荷装置を制作し、ひずみ制御・応力制御の両方の載荷方法を同時に実現して繰返し荷重を加えながら大変形する実験を可能とした。さらに供試体支持機構についても全面的な改良を加えた。 (2)計測システムの作成 : パーソナルコンピュータを用いて、実験中に供試体に作用する加重・圧力・変形等をリアルタイムに表示して所定の応力状態を確実に制御するとともに、動的載荷時に高速でデータをサンプリングするプログラムシステムを開発した。このシステムにおいては、ひずみゲージ式センサーのひずみ量とAD変換器の出力デジタルデータを直接比較することにより、確実にキャリプレーションを行う機能を有している点が特徴である。 (3)三軸試験の実施 : まず最初に多数の非排水単調載荷試験を行い、三軸圧縮時と三軸伸張時の挙動の違いを明らかにした。また初期せん断力の影響を特に供試体の異方性に注目して調べた。次に多数の非排水繰返しせん断試験を行い、特に初期せん断加重が存在する場合の砂の液状化強度を定量的に評価した。一般には圧縮モードで実験が行われており、既往の方法では液状化強度を著しく過大な評価をしている可能性が示唆された。 (4)中空ねじろせん断試験の実施 : 上記試験結果を受けて、より一般的な応力条件である単純せん断試験を行った。その結果、単純せん断条件での強度・変形特性は三軸圧縮・伸張の中間的なものでり、一般的な三軸試験からその挙動を推定する方法を示した。また、過去の海底斜面の液状化事例を詳細に調査し、単純せん断試験結果から現実の地盤の液状化挙動を明快に説明できることを示した。
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