研究課題/領域番号 |
10650483
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯塚 敦 神戸大学, 工学部, 助教授 (40184361)
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研究分担者 |
藤原 照幸 (財)大阪土質試験所, 所員
軽部 大蔵 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (70031078)
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キーワード | せん断帯 / 土 / 水連成場 / 進行性破壊 / スケール効果 / 飽和粘性土 / 有限変形理論 |
研究概要 |
せん断帯の生成やひずみの局所化に注目して、地盤材料の進行性破壊や支持力発現のスケール効果に対する合理的な説明を試みている。地盤材料は少なくとも土と間げき水との混合体であって、両者の力学的相互生の考慮が重要である。このような相互作用を考慮した土/水連成有限変形増分理論を組み立て、飽和粘土供試体と対象に、有限要素法によるせん断シミュレーションを行ってみたところ、供試体の破壊は「はじめほとんど均質→ひずみが局所化→局所的体積膨張→吸水軟化→供試体の強度低下」というプロセスと全ていたることが明らかとなった。ここで局所的体積膨張は「ダイレタンシーの局所化」と呼べるものであり、間げき水のマイグレーションを引き起こし、供試体内の局所的変形分布と顕在化させることがわかった。間げき水のマイグレーションはもとから時間依存性を有するから、結局、このような局所変形の顕在化→せん断帯の生成が、実は供試体の進行性破壊の元区である。さらに、局所変形分布は、本質的にパターンを形成するから、供試体とそのパターン形成の幾何的相対割合によって、供試体の強度発現は影響を受けることになる。これが供試体のスケール効果である。 以上のように、進行性破壊とスケール効果に対して、従来にない筋の通った解釈が可能となってきた。この理解を工学的判断に導き入れると、「壊れない構造物」にたよる盲信から、「安全に壊れる構造物」の設計・施工への糸口が開かれることとなる。
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