研究概要 |
本研究は,岩盤斜面の写真画像解析により変位測定に関する簡易的手法の確立を目的としている。一般に高精度なシステムは高価であり,一方,自然界のゆるんだ岩盤の場合はこれらが不安定になるまでには数mm以上の変位が生じる場合が多いと考えられるので,精度は数mm程度と押さえる替わりに安価なシステムを構築して,その分測点あるいは測定個所を増やすことにより,より多くのデーターを収集する事で防災等に寄与するを目的としている。すでに,ある現場において光波測距儀により約400m遠方より観測を実施した結果,数mmの変位が観測された。ここにおいて,合成焦点2000mmの望遠レンズによる画像を解析したが精度が10数mmと不十分であることが判明した。そこで,合成焦点3600mmの光学系を新たに構築してまず地上実験を実施し,分解能と変位の測定精度を検討した。その結果,分解能は約3mm,標識プレートを鉛直面内で2次元的に変位させた模擬実験では測定可能最小変位量が約3mmというある程度満足する結果を得た。現場で実際に計測する場合には,これらより精度が低下することが考えられるので,現時点ではさらに約4000mmの光学系を数十万円で構築ずみであり,今後分解能と測定精度のさらなる向上が期待される。なお,申請経費で購入したデーターロガーや自記雨量計では,2度の集中豪雨を記録しており,これらの影響で岩盤変位速度の加速や変位方向が変化する等の結果が得られている。
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