研究概要 |
日本海は冬季季節風による強風により発達した侵食性波浪(波形勾配きつい波浪)が強風と共存して,海岸侵食の主外力となっているが,閉じられた海域のため定常的なうねりにより沖に流出した海岸底質が戻される海岸の回復効果が期待できる外洋に面する海岸とは本質的に異なっている。 近年,海岸侵食の制御や海浜の保全に養浜工を適用し,自然海浜の消波機能を活用し波浪エネルギーを吸収するとともに海岸の健全な自然環境を育む工法が世界的の主流をなしてきている。このため,養浜を塀用した安定海浜工法や,養浜工は今後の海岸保全工法の主流になることは明らかであり,建設が困難な状況下でのソフトビーチ建設に向けての技術的ポテンシャルを高めておく必要がある。 本研究では,欧米のソフトビーチ建設技術を総括するとともに,日本海沿岸の海岸を対象としたソフトビーチの変形予測に主眼を置き,3次元海浜流系および海浜変形の数値予測方を提案する。今年度の成果は以下のようである。 (1)海浜変形を議論するための水深(depth of closure)の同定:大潟海岸を対象として,吹送流の影響を考慮したdepth of closureの推定を行った。 (2)養浜工法の総括:米国ではCERC,欧州はCURが養浜工建設マニュアルを作製しているが,これを総括すると伴に,現在ドイツで注目されている多段砂州内への養浜についてSYLT海岸でのモニタリングデータを収集し,これを数値モデルで追算するための準備を行った。 (3)安定海浜形成過程の実例データの解析:新潟県大潟海岸の柿崎漁港の建設にともなう安定海浜の形成過程の深浅測量データを数値化した。さらに,3次元海浜流場を考慮した海浜変形数値モデルを構築し,この海底地形変化の追算を行っている。
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