研究概要 |
1) 現地調査と観測 中野,北野は平成5年度から継続しているシオマネキなどの甲殻類の生息分布調査を吉野川,那賀川,紀ノ川,四万十川などで実施した.また上月と協力して,吉野川河口部での水質調査を行うと共に,徳島県水産試験場が行った塩分,水温調査結果を用いて,河口部の冬季の水質変動特性について検討した.またこのほかLANDSATやNOAAなどの衛星データを用いて,吉野川河口部の砂州の変形調査,紀伊水道での水温変動調査を行った.岡部は吉野川でヨシ群落植生密度調査を気球による空中撮影により実施した.上月は消波ブロック周辺におけるマクロベントスの動態調査やゴカイなどの多毛類による底質浄化機能について調査を行った. 2) 数値解析 河口の物理現象と生態系の応答を数値モデルで表現するための準備として,河床変動浄解析の高度化について岡部がマックコーマック法,中野が有限要素法を用いて検討した.岡部は計算格子や境界条件が計算精度に及ぼす影響について詳細に検討し,中野は干潟部の計算方法の改善により,これまでより精度向上が図られた.また中野と北野はPOMモデルとFEMモデルによる3次元物質拡散計算の基本部分の設計を行い,試計算を実施した. 3) 生態系のパラメータ評価 生態系モデルのパラメータ評価の一環として,中野はシオマネキの幼生段階の運動特性(走光性や塩分耐性)について調査と実験を行った.さらに中野は河口干潟のシオマネキの活動個体数密度と粒度分布や気温などの環境特性との関して多変量解析を用いたパラメータ同定を行った.岡部も中野と同様,砂州上の植物群落の地形変動や洪水の影響に関して多変量解析を用いた検討を行った.
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