研究概要 |
○規則波と不規則波による緩傾斜堤前面の海浜地形変化の比較実験 不規則波の有義波に等しい規則波を用いて行った海浜地形変化を,同一条件で行った不規則波による海浜地形変化と比較検討した.その結果不規則波の場合,一波ごとに砕波点の位置や反射率が異なるため全体的に平均化されて,規則波の場合に比べ海底地形変化は小さくなることが分かった.緩傾斜堤を設置した場合,規則波の方は波の作用時間が長くなるにつれて緩傾斜堤の被災が徐々に進行するが,勾配が急なほどその速度は速くなる.一方,不規則波の場合本実験の範囲内ではほとんど被災は発生せず,規則波の場合と大きな違いが見られた.また緩傾斜堤を沖側へ設置するほど,規則波による堤前面の深掘れは大きくなるが,不規則波の場合は設置位置に関係なく顕著な深掘れは発生しない.全ケースとも不規則波の方が堤上への砂の堆積量が多くなる. ○不規則波による緩傾斜堤裏込め材の吸い出しによる被災実験 緩傾斜堤被災の一原因と考えられる裏込め材の吸い出しに関する実験的検討を行った.裏込め材としては5種類の粒径の砂や砂利を使用した.この実験から2種類の被災パターンが観測された.一つは静水面より上方のブロックの穴からの吸い出しによって起こる被災であり,もう一つは基礎工の侵食後,法先からの吸い出しによって起こる被災である.前者は裏込め材の粒径が小さいときに起こる事が分かった.
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