本年度は海岸波浪制御状況を確認するための波高測定法について以下の通り研究を行なった。 実験室内あるいは、実海域において海岸波浪制御状況を確認するためには、同時に広い範囲内の時間的な波高情報が必要である。従来の波高計測法はある1点での時間的な波高情報を記録する「点計測」であったのに対して、レーザライトシート法は「線計測」で、水底カメラ法は「面計測」である(以下水底に設置されたカメラにより鉛直上方水面を記録し、その映像から波高解析する手法を「水庫カメラ法」と呼ぶ)。したがって線的波高計測法が改善され、面的波高計測法が確立されれば波浪制御状況の確認に対して非常に有効である。 レーザライトシートによる気液境界面可視化実験に関する研究は以下の通りである。レーザライトシートで水面を正確に可視化するための、最適なウラニン濃度に関する実験結果と気液境界面付近での輝度変化について平成13年度の土木学会関西支部年次学術講演会にて発表した。この成果から、ウラニンの濃度を従来の約4倍までに範囲を広げて可視化実験する必要があることがわかり、実験的な検討を実施した。 水底カメラ法に関する研究は以下の通りである。自然光が波面に入射し、屈折、回折したあと、水面近くの観測面に形成される濃淡模様を、水底に設置されたビデオカメラで記録する。この観測された濃淡模様(輝度情報)に対して鈴木・住野の方法を適用させ水面波形を推定した。これらの成果については第56回土木学会全国大会、第29回可視化情報シンポジウムにて発表した。さらに自然光が斜め入射する場合の輝度分布への影響についても数値計算を実施し検討した。正弦波形の本面波に対して回折理論を適用させて観測面内の輝度分布を計算し、輝度ピークの水平移動量と水面波の水深波長地、入射角度の間の関係を明らかにした。これらの成果は明石工業高等専門学校研究紀要第44号に投稿した。
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