(1) 多都市システムの一般均衡モデルの構築(文、佐々木): 国土計画、都市・地域経済学などの関連分野において、多都市システムに関する文献レビューを行った。文献レビューを通じて、既存のモデルにおける問題点を整理し、本研究の目的を達成するために作成されるモデルが具備すべき条件を明らかにした。本研究では、企業の立地と人口移動、そして財市場、労働市場の均衡、さらに地域間の交易パターンをモデル化する。これまでの研究において作成された基本モデルをもとに、実証分析を行うためのデータ利用可能性を考慮してモデル定式化の修正を行った。そして仮想的に作成されたテストデータに対して、モデルの挙動を調べるための予備的シミュレーションを行った。 (2) データ収集と加工(文、安藤): 生産関数、効用関数、交易モデルなどの諸方程式に含まれるパラメータを推定するため、日本の都市における人口、企業の立地、所得、都市間の交通流動と交通施設整備水準について、統計資料を収集し、データとして入力した。本研究では、一つの中心都市を持つ都市圏を分析単位とするが、既存のデータの単位である行政区域はそのような概念とは対応しない。そこで地域ごとのまとまりなどを考慮して都市圏の設定を行った。そして収集されたデータは、本研究で設定する都市圏と集計単位が一致していないので、それらを整合させるためのデータの加工を行った。
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