研究概要 |
平成11年度は視覚障害者の交通抵抗要因の明確化とそれに基づいたバリアフリー度の計測方法の定式化,ならびに自動車運転者の道路案内標識の判断特性に関する分析を行った。 視覚障害者の交通抵抗については,要因として,安全に関する要因,現在地や進行方向に関するに情報収集要因の2種類があり,その内容として,前者については歩車道の分離や,路上障害物の有無,道路横断時における情報提供等の要因があることが明かとなった。また後者については,音声信号などの交通安全施設以外にも,周辺の音環境,あるいは嗅覚環境によっても地点情報が得られていることが明かとなった。以上の分析により,これらの要因について,階層分析法を用いることで視覚障害者の交通負担モデルを構築し,任意点間の負担度の計測が可能となった。 また後者の自動車運転者の標識判断については,実走実験とこれに対応するCG映像を用いた2種類の実験を行い,その対応関係を明らかにした。分析の結果,標識の地名そのものを判読する地名判断に比べ,標識上にはない地名を判断する方向判断において,高齢者ドライバーの能力の低下が著しいことが明らかとなった。また,実走実験ならびにCG映像実験の結果の対比により,さまざまな条件を容易に再現できるCG映像を用いた実験によって,高齢者など心身機能の低下したドライバーに対応した標識環境の検討が可能であることを明らかにした。
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