研究概要 |
本研究課題の最終年度である平成12年度は,昨年度までの研究成果のとりまとめとともに,将来的に増加が予想される老老介護における都市交通環境の課題について検討を行った。 老老介護とは,車いすなどを介助する人自信が高齢者であるような介護形態である。わが国の高齢者世帯は核家族化の進行とともに,高齢者夫婦の世帯が増加している。老老介護は疾病等で一方が障害を持った場合に,結果として高齢者世帯が置かれる状況である。横断勾配や縦断勾配,段差などの構造の異なる歩道を高齢者に介助してもらう実験を行うことで,現在の歩行環境基準に関する検討を行った。分析の結果,歩道の横断方向の勾配については老老介護であっても,現行の2%の基準で十分であるが,縦断勾配や横断勾配,段差については,握力や腕力など筋力の低下した高齢者には,利用上問題が多く,できうる限りフラットな歩道が望まれることが明らかとなった。 以上の分析結果をふまえて,本研究では,段差や縦断勾配などの個別の障害だけでなく,出発地から目的地までのバリアフリー度を評価するシステムを構築するとともに,これを地理情報システムとして視覚的に表現する方法を示した。
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