研究概要 |
本研究は,土木計画学の立場からの都市システムモデルと経済学の立場からの成長理論モデルの二つを融合したモデルの構築とそれを用いた実証分析を試みるものである.初年度である平成10年度には,主に高速交通体系で連結された都市構造を表現する基本モデルの構築を行った. 初年度である平成10年度は,各都市が高速交通網で連結されている都市システムの成長過程をモデル化した.各都市の都市構造を都市経済モデルで表現するとともに,都市システム全体の発展過程を経済成長モデルとで表現した.都市間のコミュニケーションが知識生産を行う企業の最適化行動の結果として実現すると考え,交通システムの整備が都市システムの成長過程に及ぶ影響を把握できるような分析モデルを提案した.このモデルの特長は,1)都市システム,2)知識生産による外部経済性,3)地域間の人的交流,を明示的に考慮したことであり,それによって,1)地域間の経済格差,2)人口の大都市集中,3)地域間交通量,4)都市圏の地価の動向,を都市システムの発展過程と結びつけて分析することが可能となる.さらにシミュレーション分析を通じて都市間輸送費用の減少が国土構造や都市システム構造の発展に及ほす影響を分析する方法を提案した. 以上に示したように本研究では,初年度において交通システムの整備が都市システムの成長過程に及ぼす影響を把握する分析モデルのプロトタイプとなるモデルを提案した.次年度においては本モデルをさくに発展させてより実用的な都市システムの成長モデルを作成し,データを用いた実証分析を行う予定である.
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