研究概要 |
本研究では,都市間高速交通体系の整備が都市システムの発展や都市間の経済格差,都市システムの構造の長期的変化に及ぼす影響について分析するために,土木計画学の立場からの都市システムモデルと経済学の立場からの経済成長モデルの二つを融合することによって,新しい都市システムの成長モデルを提案した. 本年度は初年度に行ったプロトタイプの都市システム成長過程のモデルをさらに発展させ,実用的な都市システムの成長モデルの作成を行った.あわせてデータを用いた実証分析を行った.具体的には,初年度に作成したプロトタイプのモデルをさらに拡張し,実証分布に使用できるような実用的な都市システム成長モデルを提案した.昨年度の研究においては,基礎モデル構築の時点では単純化のため無視してきたパラメータなどを加えることにより,より精緻化されたモデルの構築を試みた.さらに都市システムの形成に関する実証的研究として,現実の都市システムの発展過程と交通システムの整備状況について実証的な分布を試みた. 提案した多都市成長モデルを実際の国土計画問題への適用という視点から拡張し,入手可能なデータに基づいて推計可能な実用的なモデルを提案した.さらに,都道府県を基本単位とする実用的な多都市成長モデルを経験的に推計し,いくつかの高速交通ネットワーク整備案が日本の国土構造の変動に及ぼす影響の長期的な予測に成功しており,今後の高速交通ネットワーク計画に関する有用な知見を得た.
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