研究概要 |
本研究は,包括的な外航海運ネットワーク均衡を求めるためのモデル開発を行い,適切な港湾整備・運営政策を考究しようとするものである. 平成10年度における研究成果を以下に列挙する. 1) アジアにおける外貿コンテナ輸送市場を対象として,政府・船社・荷主からなる独占市場を仮定し,各経済主体の行動を定式化した.さらに,市場における経済主体間の情報の非対称性を考慮したシュタツケルベルグ計画問題としてシステム化することができた. 2) 上述のシュタツケルベルグ計画問題としての外貿コンテナ市場を数値計算する上において,大規模計算のためのアルゴリズム開発を行った. 3) アジアにおける外貿コンテナ輸送市場に関するデータ収集を行い,国際O.D.貨物量の推計を実証レベルで行うことができた. 4) アジア発着のコンテナ貨物流動を日本(47ゾーン),韓国(1ゾーン),中国(3ゾーン),東南アジア(1ゾーン),欧州(1ゾーン),北米(1ゾーン)の計54ゾーンに関する均衡解として求めることができた.この結果,実測値と推計値の相関係数が0.92と非常に高く,高い再現性が得られたことが確認された.また,数値計算に要する時間も充分実用に耐えるものであることが確認された.
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