研究概要 |
本研究の目的は,実際の道路ネットワーク上におけるドライバーの経路選択実験を実施して得られる行動データを用いて経路選択および変更行動のメカニズムを分析することにある.この目的を達成するために,平成10年度は以下の研究を行った. ネットワーク上での経路選択行動に関する代表的な既往研究をレビューし,経路選択仮説・選択規範を体系的に整理した.英国リーズ大学Bonsall博士のレビューを受けた.昨年度に松山市及び熊本市において,実際の道路ネットワーク上におけるドライバーの経路選択実験を実施している.設定された実験条件の下に,ドライバーの予定走行経路および実走行経路・所要時間を調査するとともに,起点(トリップ開始前)と終点(トリップ終了後)に経路選択理由,経路変更理由をヒアリング調査したものである.実験により得られたデータを用いて,ドライバーの経路選択および変更行動を実証的に分析した.道路網に関する先験的知識の有無,交通混雑の有無などの要因がドライバーの選択行動に及ぼす影響について,交通行動論的な視点から分析を行い,新たな行動モデル構築のための予備的検討を行った.併せて,既往研究に示された経路選択規範の適合性について,実験データを用いた比較・検討を行った. 平成11年度は,ネットワーク上での確率的選択モデルを適用することにより,ドライバーの経路選択および変更行動を記述できる行動モデルを構築することを目的として研究を進めるが,平成10年度に得られた成果はこのための基礎的知見を与えるものである.
|