研究概要 |
近年の観光需要の増加に伴い,観光地域では環境破壊や交通渋滞といった数々の問題が生じ,それらが観光行動の制約となり,観光地の魅力自体を低下させる大きな要因の一つとなっている.これらの問題を解決し,快適な観光行動を保障するために,観光地によっては流入制御や経路誘導などの各種の規制を行う必要が生じている.本研究では. (1) 観光地における観光活動の適正水準を表すいくつかの観光容量の定義を提案し,その値の推計方法として,変動需要型確率均衡配分モデルによる配分シミュレーション法を提案した.さらに,実際に阿蘇地域を対象として観光容量の推計計算を行い,提案した推計方法の妥当性の検証と観光容量の定義のあり方についての考察を行った.さらに,(2) 自然資源の価値を評価する手法として様々なものが提案されているが,それらの手法から算出される評価額の信頼性を保つための条件等については,未だ確立されていない.阿蘇火口地域を分析対象とし,環境経済学の経済的手法の一つであるCVMやTCMを用いて観光資源の価値を計測し,それらの手法の適用可能性や適用条件等を実証的に検証した.さらに.得られた評価額を混雑料金として負荷することによって適切な入れ込み客数に需要を管理する方法の実現可能性について検討した.
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