研究概要 |
阪神・淡路大震災でも再認識されたように,災害や事故等で道路網の一部が機能停止あるいは機能低下した場合でも,ネットワーク全体としては確実で安定した交通サービスをできる限り保証する,いわゆる信頼性の高い道路ネットワークの構築と運用を行うことが重要となっている.道路ネットワークの信頼性が低下する可能性がある場合,ネットワーク信頼性を維持あるいは向上するためのキーとなるリンク,あるいは代替経路を構成する中でも重要なリンクが存在する.このリンクを知ることができれば,効率的なネットワーク強化(耐震性強化)とその強化戦略に合理的な根拠を与えることができる.以上の目的のため,本研究では道路網の信頼性を評価した上で,ネットワーク構成リンクの重要度を評価できる方法の開発と実証分析を目的としている. 平成10年度の成果は既開発の信頼度解析/重要度解析手法の大規模道路網への展開であった.現在の手法は,MS-DOSパソコンでのFORTRANを基に作成されているので640KBの制約があり,経路記憶のためのメモリの制約から64リンク程度のネットワーク規模にしか利用できなかった.今回申請したWindows95対応のFORTARNではこの問題は相当改善できた.もう1つの問題は,システム信頼性計算に固有の問題である計算時間とメモリ量(多項式の中間膨張の問題)とシステム規模との問題である.ネットワークが拡大するとこの計算可能性の問題(NP-hard問題)が発生してくるので,ブール演算法開発の過程で得られたいくつかのNP-hard回避法を効果的に組み合わせ,解精度を犠牲にしないようにする新たな方法を開発した.信頼性解析および重要度評価を,小規模なネットワークと現実の兵庫県道路網(現況及び将来計画)に対して計算済みであり,本手法の有効性を確認した.成果は,裏面のシンポジウムで発表済みである.
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