研究概要 |
この研究は,パーソントリップ調査を用いた高齢者モビリティの要因分析,集計モデルの作成,独自調査を実施した後の高齢者モビリティの要因分析と非集計モデルの作成の4段階を目的とした研究である.本年度は「パーソントリップデータを用いた要因分析」および,「高齢者モビリティに関する独自のアンケート調査の実施と分析」を行った.まず,パーソントリップ調査データの分析では, (1)高齢者の就業率や外出率が増加すると高齢者トリップが増加する可能性がある. (2)現在は潜在化した外出需要を増加させると,より一層高齢者トリップは増加する. (3)高齢者の自動車トリップは人口減少と比較すると2025年においても減少しない. 等の分析結果を出すことができた.また,独自のアンケート調査を実施し,幾つかの考察を加えることができた.結果として, (1)高齢者の外出活性を年齢層別にみると,加齢とともに外出活性が落ちていた. (2)就労の有無と外出活性との関係は,無職者よりも有職者のほうが活性が高い.とくに,75歳以上の後期高齢者は,その差が大きく,就労も外出活性に関係する要因と考えられる. (3)年齢層別に交通機関利用時に困難があるかについて設問したところ,身体的困難が理由で,外出低下に結びついているものと思われる. (4)今回のデータは,運転免許保有者の方が外出活性が高い.また,男性より女性の外出活性は低下しており,車利用も関係していると思われる. (5)数量化III類を用いて,因子を抽出したところ,私的交通手段を利用する就業者グループと公共交通手段を用いる無職者グループに分けられた.
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