研究概要 |
この研究は,パーソントリップ調査を用いた高齢者モビリティの要因分析,集計モデルの作成,独自調査を実施した後の高齢者モビリティの要因分析と非集計モデルの作成の4段階を目的とした研究である.本年度はモデル作成の一段階として,「高齢化が進展したときのトリップ予測分析」および,「高齢者モビリティに関する交通行動分析」を行った.トリップ予測分析の知見として (1)高齢者の代表交通手段は徒歩であるが,自動車利用の伸びが大きく高齢ドライバーが増加する (2)高齢化の自由目的交通の数が多くなる (3)現在のサービス水準で高齢化が進展すると,鉄道・バス等の公共交通が衰退する可能性がある (4)高齢化が進展し,就業形態や外出率の水準が向上したときの交通需要モデルを作成し予測した.結果として高齢社会下で社会活性を維持するためには高齢者の就業機会を増やし,外出機会を創出する必要があることが分かった. 等の分析結果を出すことができた.また,高齢者モビリティに関する交通行動分析について考察を加えることができた.結果として, (1)高齢者の徒歩行動をサポートするための施設としてベンチを考慮し,その必要性と需要を分析した (3)ベンチ等の移動支援が充実することで,自動車利用層でも公共交通にシフトする可能性があることが分かった. (4)モビリティが低く交通困難のある移動制約層に関しては,スペシャル・トランスポート等の新しい交通システムの必要性が認識され,その数は最低でも全高齢者の2〜3割程度存在することを予測できた.
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