研究概要 |
合流式下水道が敷設されている市街地域の下流に位置する河川,湖沼,内湾では,下水道よりの雨天時越流水により,その水質が年々,悪化してきており,そうした越流水を軽減・防止するための各種対策が早期に立案され,実施に移されることが切望されている. このため,合流式下水道流域の管渠システムでは,今後,越流水を軽減・防止するための各種対策施設・構造物が設置されるようになると予測されるが,それらの効果を定量的にかつ正確に予測するためには,合流式下水道管渠システムで降雨時に発生する圧力流れ,遷移流れ(開水路流れ⇔圧力流れ),地表面はんらんなどの雨水流出とこうした複雑な流れのもとでの汚濁負荷流出を実用的にかつ精度高くシミュレートし得る分布型の非定常解析モデルが必要となる. 本研究はこうした解析モデルを開発するために推進された.本研究では,(1)はじめに,雨水流出には上述したサーチャージ流れ(遷移流れ,地表面はんらん,など)を正確にシミュレートできるスロット・モデルあるいはSWMMモデルを,汚濁負荷流出にはわが国で1980年代より広く用いられてきている土研モデルを改良した分布型土研モデルを用いる雨水と汚濁負荷の分布型非定常流出解析モデルを提案し,(2)次いで,本モデルを市街地の一合流式ポンフ排水区に適用し,排水ポンプの間欠運転に伴って流出が制御されているもとでの流出計算結果を実測結果(雨水流出およびBOD,COD,SSの汚濁負荷流出)と対比して,本モデルの実用性と適合性がかなり高いものとなっていることを明らかにした.
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