研究課題/領域番号 |
10650546
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
田中 綾子 福岡大学, 工学部, 助手 (10131830)
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研究分担者 |
松藤 康司 福岡大学, 工学部, 教授 (40078663)
花嶋 正孝 福岡大学, 工学部, 教授 (70078624)
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キーワード | 廃棄物埋立地 / 亜酸化窒素 / 発生メカニズム / 化学的還元反応 / 脱空菌 / アンモニア酸化細菌 / N_2O同位体比 / 鉄酸化細菌 |
研究概要 |
本研究では、埋立地からの温室効果ガスの発生を抑制することを目的として、温室効果ガスの中で温室効果が高く、埋立地における発生動態が解明されていない亜酸化窒素(N_2O)に注目し、その埋立地における発生メカニズムについてバッチ振盪実験及び埋立模型槽実験により検討した。その結果、以下の点が明らかになった。 (バッチ振盪実験) (1) 焼却残渣や破砕不燃ごみと硝酸塩を含む浸出水が接触すると、それら廃棄物中に含有されている金属類が触媒となり、硝酸塩の化学的還元が起き、その過程でN_2Oが生成される。この場合、N_2Oの生成活性は、焼却残渣が破砕不燃ごみに比べて高い。 (2) 上記廃棄物とアンモニウム塩を含む浸出水が接触した場合、(1)の反応と逆の反応、つまり、アンモニウム塩の化学的酸化反応が起こり、(1)同様にN_2Oが生成される。ただし、酸化反応によるN_2O生成活性は、還元反応による生成((1)の結果)に比べると低く、特に焼却残渣において低かった。 (埋立模型槽実験) (1) バッチ振盪実験結果と同様に、焼却振盪を充填した埋立模型型槽実験においても100〜150ppmのN_2Oの生成が見られた。 (2) 硝酸塩を降雨として散布した場合、その浸出水中に脱窒菌や鉄酸化細菌は全く検出されなかった。また、生成されたN_2Oの安定同位体比は、δ15Nが-9.1%、δ180が38.4%であった。これらの事から、この実験におけるN_2Oの生成は化学的還元反応によって起きた可能性が高い。 (3) アンモニウム塩を散布した槽では、N_2Oの生成が見られた時期(200日目)にアンモニア酸化細菌が検出された事から、この槽におけるN_2Oの生成は、生物的酸化反応によって起きている。 以上の結果から、焼却灰主体の埋立地では、化学的還元によるN_2Oの生成量を無視できないと考えられる。
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