研究概要 |
廃棄物の固形燃料化は大都市において家庭系収集ごみの質的問題から計画が進んでいない。そこで、ごみ質に偏りのある事業系一般廃棄物を対象に、固形燃料化の可能性を検討した。平成10年度は福岡市を対象に、事業系一般廃棄物の中で特にリサイクルできないごみ(紙・プラスチック)を固形燃料の原料と想定し、原料の回収方法として(1)直接焼却施設に持ち込む不特定多数を対象,(2)大量に排出する特定事業所からの回収を対象とした場合の2通りについて、基礎調査を実施しごみの量的・質的な排出特性を検討した結果をまとめた。(1)清掃工場に直接搬入される不特定多数の事業系一般廃棄物の中から、固形燃料の高品質化を想定した場合、運送車と一般車を対象に約34t/日程度が回収可能であった。(2)ホテルやオフィスビル等の事業所(排出量が25t/年以上を対象)から大量に発生する廃棄物の中で、段ボール,新聞紙等のリサイクルごみを回収した後に、排出されるリサイクルできない雑紙を対象した結果、1日当り約41t/日に相当する量が、固形燃料の原料として確保できる可能性が明らかとなった。これらの結果から、(3)福岡市における事業系一般廃棄物の中から固形燃料の原料として確保できる量は、1日当り約75t/日のリサイクルできない紙・プラスチックの確保が可能である事がわかった。また、その組成割合は新聞紙・雑誌5.1%,段ボール4.7%,書類13.9%,その他雑紙65.1%,プラスチック11.2%となり、リサイクルできない雑紙を主体とした固形燃料の原料が確保できる可能性が示唆された。しかしながら大都市でのごみの固形燃料化には(1)原料の安定供給の確保,(2)製造した固形燃料の高品質化,(3)需要先の確保,(4)固形燃料利用後の残渣処理,(5)大都市におけるエネルギー収支と事業コストのバランス等を解決することが必要になる。
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