研究概要 |
本研究は資源循環型社会システムを構築する手段の一つとして、廃棄物の固形燃料化による熱エネルギーの有効利用が注目される中で、大都市において事業系一般廃棄物の中で、リサイクルできない可燃物の固形燃料化の可能性と廃棄物の減量効果について検討した。 1年目は固形燃料を生産する側の安定供給と品質管理を把握するため、福岡市をモデルに固形燃料の原料となる事業系一般廃棄物の質的・量的調査を実施した。その結果、事業系一般廃棄物中のリサイクルできない可燃物を、固形燃料の原料として確保できる量は1日当たり約75t/日であり、事業系一般廃棄物の1/4が固形燃料の原料として回収可能であった。また、その組成はリサイクルできない雑紙や廃プラスチックを主体とした、固形燃料の原料が確保できることが示唆された。2年目は固形燃料を利用する側の諸条件について検討した。固形燃料の利用施設として、ボイラー等を使用している一般企業や公共施設等へのアンケート調査と固形燃料利用施設へのヒアリングを実施した。固形燃料を燃料として使用する意志がある事業所は5%と極めて少なく、基本的には既存のボイラー施設で固形燃料使用が可能であり、燃焼後の焼却残渣の市町村への受入れが求められていた。一方、固形燃料を利用しない理由として、固形燃料を使用する施設がない点や、施設の改造によるコスト問題,労力と人件費の上昇,工場周辺への気遣い及び固形燃料の保管方法等への懸念があった。 以上、大都市での固形燃料化の可能性について検討してきたが、廃棄物を固形燃料化は減量効果が認められるが、固形燃料の需要先の確保には熱エネルギー収支と事業コストバランス等を解決することが必要であった。
|